Special Interview

クラブハウス建築美学 特別篇
建築家 大宇根弘司/グランフィールズカントリークラブ

本物の持つ普遍性。

Text by Kobayashi Kazuto, photos by Ishizuka Sadato

ゲストに驚きと感動を与えたい、という施主のこだわりを建築家が形にしたクラブハウスは、モダンでありながら、クラシカル。
本物の素材を使っているからこそ荘厳で、時の経過とともに価値を増す普遍性を持っている。

全体のへそとなる大空間に漂う神々しさ

その建物に一歩足を踏み入れた瞬間、ゴルファーは荘厳な空間に息を呑むことになる。

遥か頭上には大聖堂を思わせるアーチ型の天井が広がり、頂点の開口部から光が差し込んでいるのが見える。まっすぐ視線を落とすと水を張った円型のオブジェがひっそりと佇み、静謐な水面に向こう正面の扉を映し出している。

大空間の壁面は大理石で覆われ、上手にはステージのような踊り場をもつ階段が優雅に2階へと続いている。およそゴルフ場とは結びつかない、神々しささえ感じる建物だが、そこは紛れもなくクラブハウス。ただならぬ気配に、思わず背筋が伸びるような気がする。

「今風の建築はやたら明るくてガラスが多くて、それはそれで楽しいのですが、ここではそれほど開けずに、ほどほどに閉じて、入ってきたときにここが全体のへそだぞ、という象徴的な空間にしたいと思いました」

そう語るのは、この建物を設計した大宇根弘司氏。メインフロアのオブジェはオーストラリアの国会議事堂のエントランスホールにあるウォーターオブジェを模したものだそうだ。

「水は循環しているが扉を閉めていると水面が鏡のように静止して見えるのがミソで、空間としては使いにくくなりますが、施主の強い希望で設置することになりました」

コースのメンバーでもある大宇根氏によくよく話を伺うと、コースの造成よりも先にクラブハウスの立地が議論され現在の場所に決まったのだという。計画が具体的になる前からオーナーと何度もこの地を訪れ、絶好のロケーションを生かすにはどこに建てればいいかと試行錯誤を繰り返したのだそうだ。その結果、敷地の高台に南北に広がる半円形の建物に決定。吹き抜けの大空間をもつ母屋を中心に左右に翼を広げたような弓型の構造で、西側は景色を取り込めるようアーチ構造になっている。なるほど北西に聳える富士山から始まり、左手に横たわる愛鷹山、三島の町の向こうに見える駿河湾を経て、伊豆半島まで連なるパノラマを一望するにはこれしかないというほど、絶妙なロケーションなのだ。

景観に溶け込み、なおかつ圧倒的な存在感を放つエクステリアの素材は石。この外壁こそ建物のコンセプトを象徴している素材といえるだろう。

「本物にしたい、というオーナーの思い入れが物凄く強かったもので、新建材は一切使っていないのがこの建物です。私は通常、外壁にレンガを用いるのですが、シドニーの砂岩にしたいというオーナーの強いこだわりがあったので、だったらちゃんと下から積むのが原則ですから、現地に何度も足を運んで、向こうで製作して持ってきたわけなんです」

最も薄いもので75ミリという厚みのある砂岩を積み上げているがゆえの重厚感。膨大なコストがかかるこの方法を選択したのは、最高のものでゲストをもてなす、という施主の強い意志の表れだった。屋根がすべて緑青銅板なのも、時間の経過で劣化するのではなく、むしろ風雪を刻んだことで趣きが出るようにという思考からの選択だ。そしてこれは建築家の信念でもある。

「日本の建築は非常に寿命が短いんです。ひとつは地震の問題があって、地震がくるたびに耐震強度の考え方が変わり、基準がどんどん厳しくなる。それが壊してしまう理由のひとつですが、いかに長く使い続けるかという発想は僕の目から見ると希薄で、造ったときに一番ォーターオブジェを模したものだそうだ。

「水は循環しているが扉を閉めていると水面が鏡のように静止して見えるのがミソで、空間としては使いにくくなりますが、施主の強い希望で設置することになりました」

コースのメンバーでもある大宇根氏によくよく話を伺うと、コースの造成よりも先にクラブハウスの立地が議論され現在の場所に決まったのだという。計画が具体的になる前からオーナーと何度もこの地を訪れ、絶好のロケーションを生かすにはどこに建てればいいかと試行錯誤を繰り返したのだそうだ。その結果、敷地の高台に南北に広がる半円形の建物に決定。吹き抜けの大空間をもつ母屋を中心に左右に翼を広げたような弓型の構造で、西側は景色を取り込めるようアーチ構造になっている。なるほど北西に聳える富士山から始まり、左手に横たわる愛鷹山、三島の町の向こうに見える駿河湾を経て、伊豆半島まで連なるパノラマを一望するにはこれしかないというほど、絶妙なロケーションなのだ。

 

外壁に用いられているのはシドニー産の砂岩。現地で製作してから持ち込み、積み上げたものだ。時の経過と共に風合いが出て重厚さを増すのが建築家の狙い。同じ理由で屋根には銅板を使用。