Prestigious Club.

ニッポン、名門。
大利根カントリークラブ 西コース

空中のハザード

text by Kobayashi Kazuto, photos by Miyamoto Taku

円熟期の井上誠一がそれまでに培った叡智を結集し、一気に造り上げた大利根カントリークラブ。
広大かつフラットな松林は大舞台に相応しいフィールドに変貌し、ゴルファーの挑戦を待ち受けている。

封印が解けた西コースで
今年もまた戦いが始まる

大利根で日本オープンが開催されたのが1972年。それから30年以上の長きに渡って、この名門コースはプロの試合とは一線を画すことになる。

その理由を推測すると、おそらく「必要がなかった」ということになるのだろう。井上誠一が利根川近くの広大な松林に造った36ホールは都心からほど近く、つねに手入れが行き届いた状態でそこに在り、ゴルファーを楽しませて来たからだ。これ以上トーナメントで名を上げる必要はなく、メンバーはむしろ秘密にしておきたかったのではないだろうか。

封印が溶けたのは2007年。全米オープンの極東地区最終予選が開催され、翌年クラブ史上初めて男子プロゴルフトーナメントの舞台となる。2010年にも2度目となる日本女子オープンが開催されたが、これらの試合はすべて東コースだった。そして昨年、アジアパシフィック オープン ダイヤモンドカップゴルフが西コースで開催され、43年ぶりにその姿を見せることになったのだった。

ここで戦った選手が口を揃えて言うのは、とにかく難しいということ。その難しさの本質が何かといえば、やはり空中のハザードということになるだろう。それぞれのホールは松林でセパレートされ、少しでも曲げようものならそこに呑み込まれてしまうのだが、たとえフェアウェイに打ったとしても、場所を間違えれば巧みに配された松が次の一打の行く手を遮るのだ。だからティーショットには神経を使うし、そもそもティーショット自体に松が制限を加えてくるので、狙った所に運ぶためには出球と球筋をきっちり管理しなければならない。木と木の間の広いとはいえないスペースを通してから曲げる技術が要求されるのだ。

13th 555yards PAR5
両サイドから木がせり出しているのでティーショットで実質使える空中のルートは限られる。